Dual Scan(デュアルスキャン)事件|newpon特許商標事務所

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医療用商品と家庭用商品の類否 Dual Scan(デュアルスキャン)事件

知財高判2016(H28)・2・17 H27(行ケ) 10134号 審決取消請求事件

事実の概要

 本件は、商標登録無効審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は、商標法4条1項11号該当性(指定商品の類似性)である。

  1 本件商標及び特許庁における手続の経緯等
 被告(Y)は、下記のとおり、「デュアルスキャン」の片仮名と「Dual Scan」の欧文字とを2段に書した商標(本件商標。指定商品:商標法施行令1条別表の第9類「脂肪計付き体重計、体組成計付き体重計、体重計」。以下、商標法施行令1条別表の分類については、単に分類の数字だけを列挙する。)を、平成24年11月16日に登録出願し、平成25年3月21日に登録査定を受け(本件査定)、同年4月19日に設定登録された(登録5576127号)。

 原告(X)は、平成25年11月14日、無効審判請求をしたところ(無効2013-890078号)、特許庁は、平成27年6月5日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、同審決謄本は、同月16日にXに送達された。

  2 審決の要旨
 審決は、本件商標は、 「DualScan」の欧文字を標準文字により表してなる登録第5160747号商標(引用商標。指定商品:第10類「体脂肪測定器、体組成計」。平成19年12月7日登録出願、平成20年8月22日設定登録)と類似するといえるが、その指定商品が引用商標に係る指定商品と類似するとはいえないから、商標法4条1項11号に該当しないと判断した。
 理由の要旨は、以下のとおりである。

  (ア) 本件商標の指定商品
 本件商標の指定商品の1つである「脂肪計付き体重計」についてみるに、該商品が第9類の商品として登録されていることから、第10類「医療用機械器具及び医療用品」には含まれない商品というのが相当である。そして、第9類に属する「脂肪計付き体重計」は、医療目的でなく、体内に蓄積した脂肪分を測定する「脂肪計」の機能が付いた「体重計」をいうものと解される。

  本件商標の指定商品の1つである「体組成計付き体重計」についても同様であり、第9類に属する「体組成計付き体重計」とは、医療目的ではなく、体脂肪、筋肉量、基礎代謝量などの体の組成に関する諸数値を測る「体組成計」の機能が付いた「体重計」をいうものと解される。

  本件商標の指定商品の1つである「体重計」についても同様であり、第9類に属する「体重計」とは、医療目的ではなく、専ら「体重を測る秤(はかり)。」(広辞苑第六版)をいうものと解される。

  (イ) 引用商標の指定商品 引用商標の指定商品の1つである「体脂肪測定器」は、第10類の商品として登録されていることから、第9類「科学用、航海用、測量用、写真用、音響用、映像用、計量用、信号用、検査用、救命用、教育用、計算用又は情報処理用の機械器具、光学式の機械器具及び電気の伝導用、電気回路の開閉用、変圧用、蓄電用、電圧調整用又は電気制御用の機械器具」には含まれないというのが相当である。そして、第10類に属する「体脂肪測定器」とは、医療行為を目的として、体内に蓄積した脂肪分を測定する機器をいうものと解される。

  引用商標の指定商品の1つである「体組成計」についても同様であり、第10類に属する「体組成計」は、医療行為を目的として、内蔵/皮下組織などの脂肪成分、臓器や筋肉などの除脂肪成分、胃・膀胱などにある水分量や体全体の水分量などを測定したり、細胞内水分、細胞外水分、体脂肪量、骨格筋量、筋肉量などを測定する医療用の機械器具をいうものと解される。

  (ウ) 本件商標と引用商標の各指定商品に係る取引の実情(品質、用途、生産部門、販売部門、需要者の範囲)について
 a 前提 本件商標の指定商品である「脂肪計付き体重計」及び「体組成計付き体重計」は、体内に蓄積した脂肪分や脂肪率等を測定するものであり、該商品は、医療目的で使用されるものではなく、いずれも「体重計」に脂肪分や脂肪率等を表示する機能を付加させたものであって、「体重計」の範ちゅうに属する商品であると認められる。
 これに対し、引用商標の指定商品である「体脂肪測定器」及び「体組成計」は、体内に蓄積した脂肪分、脂肪成分、体全体の水分量及び筋肉量等を測定するものであり、該商品は、専ら病院等において医療目的で使用されるものであって、 「医療用機械器具」の範ちゅうに属する商品であると認められる。

  b 両商品の生産部門について
 Yは、家庭用の健康機器と医療用の内臓脂肪測定装置の双方を生産しており、Xも家庭用の健康機器と医療用の腹部脂肪計の双方を生産していることが認められる。
   他方、家庭用の「脂肪計付き体重計」や「体組成計付き体重計」の生産者の多くが、医療用の脂肪測定器や体組成計を生産しているとの証左はなく、その逆も同様である。家庭用と医療用の両方を製造する例は少なく、いずれかを専業するというのが、一般的な取引の実情と認められる。
   そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、その生産部門が必ずしも共通するものとはいえない。

  c 両商品の販売部門について Xが提出した証拠からは、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが、その販売部門を共通にするとの事実や取引の実情を認めることはできない。

  d 両商品の需要者について 本件商標の指定商品の需要者は、一般の消費者ということができる。
 他方、引用商標の需要者は、医療従事者というべきものである。

  e 結論
 したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、体内に蓄積した脂肪分や体組成を計測するという機能を共通にするものの、互いの品質や用途を異にし、その生産部門、販売部門及び需要者の範囲を異にする商品というべきである。
 してみれば、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品に同一又は類似の商標が使用されたとしても、それが、同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあるということはできない。
 したがって、本件商標は、引用商標と類似するといえるが、その指定商品が引用商標に係る指定商品と類似するとはいえないから、商標法4条1項11号に該当しない。

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判 旨

 請求認容、審決棄却。裁判所は、当審決の指定商品の類否判断に誤りがあったことを認め、特許庁が無効2013-890078号事件についてにした審決を取り消した。

 1 商品の類否
(1) 本件商標と引用商標の指定商品
 本件商標の指定商品は、第9類「脂肪計付き体重計、体組成計付き体重計、体重計」である。
 引用商標の指定商品は、第10類「体脂肪測定器、体組成計」である。
(2) 判断基準
 ・・・
  そうすると、指定商品の類似性の有無については、 「それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認される虞がある認められる関係にある」か否かにより判断されるべきであり(最高裁昭和36年6月27日第三小法廷判決・民集15巻6号1730頁) 「商品の品質、形状、用途が同一であるかどうかを基準とするだけではなく、さらに、その用途において密接な関連を有するかどうかとか、同一の店舗で販売されるのが通常であるかどうかというような取引の実情をも考慮すべき」である(最高裁昭和39年6月16日第三小法廷判決・民集18巻5号774頁)。そして、「商品自体が取引上互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認混同されるおそれがある場合」には、 「類似の商品」に当たると解すべきである(最高裁昭和43年11月15日第二小法廷判決・民集22巻12号2559頁)。なお、上記判断は、誤認混同のおそれの判断は、商標の類似性と商品の類似性の両方が要素となり、これらの要素を総合的に考慮して行うことを示すものであるが、商品の類似性は、商標の類似性とは独立した要素であり、登録に係る商標や引用商標の具体的な構成を離れて、判断すべきである

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  2 本件についての検討
 (1) 本件商標と引用商標の指定商品
 ア 本件商標の指定商品は、第9類「脂肪計付き体重計、体組成計付き体重計、体重計」であり、引用商標の指定商品は、第10類「体脂肪測定器、体組成計」であるから、政令別表では異なる分類になる。
 イ 商標法施行令は、商標法6条2項に係る区分を定める政令別表において、第10類として「医療用機械器具及び医療用品」を挙げているところ、省令別表では、第10類の項目において、「医療用機械器具」が、「手術用キャットガット」や「人工鼓膜用材料」、 「医療用手袋」等とともに列挙されているから、第10類の「医療用機械器具」とは、本来、医療行為に供することが予定されている商品を指すものと解される。
 そうすると、引用商標の指定商品である「体脂肪測定器、体組成計」とは、医療行為に供する程度の品質、性能を保有することが予定されている体脂肪率、筋肉量、基礎代謝量等の体組成の測定機器を指すものというべきである。

  ウ これに対し、政令別表では、第9類として「科学用、航海用、測量用、写真用、音響用、映像用、計量用、信号用、検査用、救命用、教育用、計算用又は情報処理用の機械器具、光学式の機械器具及び電気の伝導用、電気回路の開閉用、変圧用、蓄電用、電圧調整用又は電気制御用の機械器具」が列挙されているところ、省令別表では、第9類の項目において、「測定機械器具」として、温度計、圧力計、金属材料圧縮試験機、気象観測用機械等の種々のものが列挙されているものの、いずれも、医療行為に供することを予定したものではないから、省令別表の「測定機械器具」が属する第9類の「測量用・・・の機械器具」は、元々、医療行為に供することが予定されていない商品を指すものと解される。
 そうすると、本件商標の指定商品である「脂肪計付き体重計、体組成計付き体重計、体重計」とは、体脂肪率、筋肉量、基礎代謝量等の体組成や体重の測定機器を指すというべきである。そして、測定の対象自体は引用商標の指定商品と重なる部分があるが、医療行為に供することが予定されていないという意味において、医療行為に供する場合よりも、品質や性能が劣るものを予定しているというべきである。

  オ 「類似商品・役務審査基準」では、類似商品コードは、引用商標の指定用品の属する第10類「医療用機械器具」が「10D01」であり、本件商標の指定商品の属する第9類「測定機械器具」が「10C01」であって(甲14、18、乙2)、両指定商品は、同一短冊に含まれておらず、同基準上、原則として商品として類似しないことが推定されるという取扱いがなされている。
 ・・・
「類似商品・役務審査基準」において、商取引、経済界等の実情の推移から、類似と推定した場合でも非類似と認められること、基準上は類似とならない場合であっても類似と認められることがあると注記しているのも(甲64) 例外 、を許容する趣旨と解され、上記見解と整合するものである。

  (2) 検討
 以上によれば、本件査定時において、本件商標と引用商標の指定商品に関連する体脂肪計、体組成計、体重計等の取引の実情に関し、次のことがいえる。
 ア まず、業務用として販売されている体組成計及び体重計は、医療用として使用することを想定した機能や性能を有し、医療用製品に該当するといえるところ、家庭用の体組成計及び体重計のシェアが極めて高いXとYは、医療用製品の製造者でもある。また、医療用の体組成計しか製造していないメーカーが存在する一方、医療用の体組成計を製造していない家電メーカーも存在し、家庭用の製品と医療用の製品に関し、シェアが一致しているとは認められない。

 イ 次に、メーカーによって、販売用のカタログの種類、掲載対象は異なるが、家庭用の体組成計や体重計のシェアが高いYは、家庭用と業務用の両方を掲載したカタログを用意している。また、多数の医療機器販売メーカーのカタログにおいて、小型の体脂肪計、体組成計、体重計が掲載され、販売されているが、その中には、XやYの製品で、業務用のものと家庭用のものの両方が含まれているため、医療関係者は、医療用機器の購入時に家庭用機器も併せて購入対象として検 討することになる。
 小売店における体脂肪計、体組成計、体重計の販売では、業務用の大型のものは展示されていないが、健康意識の向上に伴い、血圧計や体温計といったヘルスケアに関する製品と一緒に展示されており、一般消費者は、家庭用体組成計、体脂肪計及び体重計を、健康維持や病気予防の目的で使用できる製品と近い性質のものと認識し得る。

 また、近時は、ネット販売の増加もうかがわれるところ、体脂肪計、体組成計、体重計のネット販売は、家電メーカー、医療機器メーカーに限られず、オフィス用品取扱会社などにおいても取り扱われており、医療関係者の購入を前提とし、医療用製品を主に取り扱うウェブサイトもあれば、一般消費者の購入を前提とし、家庭用製品を主に取り扱うウェブサイトもある。前者では、医療用機器として大型の体重計、体組成計以外に小型の製品も掲載され、医療用に限定されず、家庭用の体組成計、体重計が販売されていることが多いため、主たる需要者である医療関係者にとって、医療用機器と同様に、家庭用機器が購入検討対象となる。しかも、医療用製品を主として取り扱うウェブサイトであっても、一般消費者がアクセスすること自体に制限はなく、購入も禁止されていないため、一般消費者も需要者となることがあり、その場合の購入対象は、家庭用機器に必ずしも限られず、医療用機器も候補となる。他方、一般消費者向けのウェブサイトであっても、業務用体重計が販売される場合もあり、医療用製品が購入候補になることもあるし、リンクが貼られた業務用製品販売通販サイトへアクセスすることで、他の医療用製品等が購入候補となることもある。

 ウ さらに、医療用と家庭用の体脂肪計、体組成計、体重計において、その品質及び価格は様々であるが、医療用と同程度の品質及び価格が用意されている業務用のものは、医療現場以外の学校やフィットネスクラブ等でも使用され、学生やフィットネスクラブの会員である一般消費者が、直接接する場合がある。
 具体的には、医療現場に設置されることが多いと考えられる業務用の製品は、価格が100万円を超えるものや、一般住宅内での設定が想定できないほど大型のものがあるが、一方、業務用の体重計であっても、価格が3万円程度で、一般家庭での購入が十分可能な製品もある(YのWB-260A)。

 他方、家庭用の体脂肪計、体組成計、体重計であっても、多数の機能が付加されていることが通常であり、1万円を超えることも珍しくない。これらの家庭用の体重計等は、家庭用計量器の基準しか満たさないものとはいえ、その測定対象や測定単位が医療用のものと同様のことがあり、医療関係の研究論文で使用される程度の精度を備えていて、医療現場で購入される場合もある。

 エ このように、家庭用の体重計の需要者である一般消費者は、医療用の体組成計、体重計も入手可能な状況となっていたといえる上に、医療用の体組成計、体重計は、医療現場での利用に限定されず、学校やフィットネスクラブ、企業等でも利用されるから、その需要者は、医療関係者に限定されず、学校関係者やフィットネス関係会社、企業の物品購入部門、健康管理部門の従業員も含まれる。そして、医療用の体組成計及び体重計のシェアの正確な数値は不明であるが、Yの医療用の体組成計の販売台数は相当数に及び、販売シェアも小さくないから、これらの需要者は、家庭等でYの家庭用の体組成計を目にするだけでなく、学校やフィットネスクラブ等でYの医療用の体組成計を目にする機会もあることが推認される。

 また、一般消費者の一部を構成する医療従事者は、一般消費者よりも高い注意力をもって商品を観察するとはいえ、医療用と家庭用の両方の製品を製造し、家庭用のシェアの大半を占めるXとYの製品に日常的に接することになるから、医療用製品の出所について、家庭用製品の出所と区別して認識することが困難な状況といえる。
 さらに、その他の学校関係者、フィットネス関係会社や企業の物品購入部門、健康管理部門の従業員には、一般的な消費者も含まれており、しかも、医療用と家庭用の体重計、体組成計の測定対象は同じであり、性能等が近づきつつあるといえる上に、精度の違いは一般消費者には識別し難い場合があることから、性能による明確な区別も困難である。

 オ よって、本件査定時においては、医療用の「体脂肪測定器、体組成計」と家庭用の「脂肪計付き体重計、体組成計付き体重計、体重計」は、誤認混同のおそれがある類似した商品に属するというべきである。したがって、審決の指定商品の類否判断の誤りをいうXの取消事由3は、理由がある。

 なお、商標における指定商品として医療機器に該当する上で、旧薬事法上の認証や管理医療機器としての医療機器承認の取得は要件ではないし、家庭用特定計量器 にしか該当しないことは、需要者・取引者における医療機器との出所の混同を回避させるものではない。
 したがって、Yの主張は採用できない。

 以上のとおり、審決には上記のとおり誤りがあり、取り消されるべきである。
 よって、Xの請求を認容することとし、主文のとおり判決する。

検 討

 判決に賛成。

 昨今、廉価な家庭用も性能がよくなり、医療用と類似関係にあるという結論が妥当と考える。
 なお、本裁判においても引用しているが、商品の類似については、「橘正宗事件」最高裁第三小法廷判決(昭和36年6月27日)(注)がある。この判決の基準に従えば、
 Xの「体脂肪測定器 or 体組成計」とYの「脂肪計付き体重計 or 体組成計付き体重計」に同一商標「Dual Scan」を使用した場合、需要者が同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認する虞があるかどうかである。需要者は、「医療従事者」と「一般消費者」である。医療従事者は混同しないであろうから、一般消費者の混同の虞の有無が問題となる。判決では触れていないが、この判断に、X・Yの事業(取引の実情)を加味することは妥当なのだろうか?

(注)判旨:
 「指定商品が類似のものであるかどうかは、原判示のように、商品自体が取引上誤認混同の虞があるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認される虞がある認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互に誤認混同を生ずる虞がないものであつても、それらの商標は商標法(大正10年法律99号)2条9号にいう類似の商品の商品にあたると解するのが相当である。」(最高裁昭和36年6月27日第三小法廷判決 橘正宗事件)

判決例

1 請求認容(審決取消)判決

 (1) 東京高判H16.7.26 H15(行ケ)456号 「SUMCO」事件 裁判所HP

2 請求棄却(審決認容)判決

 (1) 知財高判H21.6.25 H21(行ケ)10031号 「Laser Eye」事件 裁判所HP
 『(本願商標の指定商品)「レーザー光照射型混入異物検査装置」の属する「異物検査機(異物検出機)」と(引用商標の指定商品)「牛乳殺菌機」の属する「殺菌機」とに同一又は類似の商標が使用されるときは,同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認・混同するおそれがあると認められる関係にあり,商標法4条1項11号にいう「類似の商品」に当たると解するのが相当である。』

 (2) 知財高判H23.4.25 H22(行ケ)10332号 「天下米」事件 裁判所HP
 『本願商標をその指定商品「不透明の気密性袋に密封包装した福井県産の炊飯用精白米」に使用した場合,引用商標をその指定商品中「籾米」に使用した場合とで誤認混同が生じるおそれがあるということができるから,本願商標と引用商標の各指定商品は類似するというべきである。』

 (3) 知財高判H28.1.13 H27(行ケ)10096号 「ブロマガ/BlogMaga」事件 裁判所HP
 『商品「電子計算機用プログラム」と役務「ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供等」とに同一又は類似の商標を使用する場合は,同一営業主の製造若しくは販売又は提供に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあると認められる関係があるといえる。』

3 侵害事件

 (1) 大阪高判H25.3.7 H23(ネ)2238号 「モンシュシュ」事件 裁判所HP
 『一般的に,「洋菓子」という商品に使用される標章と同一又はこれに類似する標章を,「洋菓子の小売」という役務に使用した場合には,商品の出所と役務の提供者が同一であるとの印象を需要者に与え,出所の混同を招くおそれがあるといえるのであり,入口ガラス壁面に営業時間や電話番号等が記載されていることなどの控訴人が指摘する事情や,証拠(・・・)により認められる実際の店舗看板等への使用態様をもって,上記おそれを否定することはできない。なお,小売等役務商標制度が施行されたことを考慮しても,「商品」と「役務」が互いに類似することがあること(商標法2条6項)に変わりはなく,出所混同を招くおそれが認められる以上,上記結論を左右するものではない。』

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以 上

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