香港における商標保護|newpon特許商標事務所

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香港(Hong Kong)

 香港では、実質的にイギリス商標法が採用されています。出願の際に出願人名称の音訳と翻訳名を記載する必要があります。拒絶応答時に、既に所有しているハウスマークと結合させるなどの商標の補正が一定要件下で認められます。シリーズ商標の出願が可能です。

A. 商標登録出願(直接出願)

(1)願書の記載

 ■ 願書には、出願人の住所及び氏名(法人の場合は名称)を英語及び漢字で表記する必要があります。
   一出願一商標制度ですが、「シリーズ商標制度」(series trademark、系列商標)が採用されています。出願人は、主要部が酷似している一連の複数商標を一出願中に含ませることができます。防護商標・団体標章・証明標章の出願ができます。

 ■ 商標

 視覚媒体により(graphically)表現することができるあらゆる標識(sign)であって、ある事業に係る商品又は役務を、他の事業に係る商品又は役務から識別することができるものをいいます(商標法3条)。立体商標、色の組合せ、音響及び匂いも保護されます。連合商標制度と防護商標制度は廃止されています。

 ■ 指定商品・役務

 ニース協定には非加盟ですが、国際分類を採用しています。一出願多区分制度を採用していますので、1つの出願書類で複数の区分の商品・役務を指定して出願することができます。
 第9 類において、単に「machines(機械器具)」という記載は認められませんが、「applied electronic machines and apparatus(電子応用機械器具)」、「computers(電 子計算機)」、「parts of computers(電子計算機の部品)」は認められます。
 「retail services relating to the sale of kitchen appliance(台所用品の小売り販売)」、「crockery(瀬戸物、陶器)」、「salad dressing(サラダドレッシング)」、「sugar confectionery(砂糖菓子)」というような包括的表示は認められますが、単に「retail services(小売り業)」という記載は認められません。
 クラスヘディングによる記載は、いくつかの分類では認められていますが、第9類では認められていません。指定商品・役務の最後に「; all included in class(本類に属するすべての商品(役務))」という記載を付加することが認められています。

(2)団体標章制度(collective marks)

 団体標章は,標識の所有者である団体の構成員の商品又はサービスを他の事業のそれから識別する標識です(法61条)。

(3)証明標章制度(certification marks)

 証明標章とは,標識であって,その使用に係る商品又はサービスが,商品の出所,材料,製法,又はサービスの実行,質,正確さ,又はその他の特徴について,標識の所有者により証明されていることを表示するものをいいます(法62条)。

(4)委任状(Power of Attorney)

 提出する必要があります。委任状や譲渡証の知識産権署への提出にあたり、特に公証・認証は必要とされていません。

(5)優先権証明書(Priority Document)

 パリ条約に加盟していますので、パリ条約に基づく優先権を主張することができます。また、WTO加盟国(中国大陸除く)の国民は香港出願において優先権を主張して出願することができます。優先権証明書は公告決定時までに提出しなければなりません。

(6)審査

 ■ 実体審査(substantive examination)

 (1) 識別力があるかどうか、(2) 先行商標と抵触しないかどうか、(3) 人を欺くようなものでないかどうかについて実体的審査が行われます。商標が使用されているかどうかについては、通常の審査の対象ではありません。
 商標見本中の識別力がない部分については、審査官が職権でこれを削除することができます。たとえば、©・®等は通常、職権で削除されます。
 商標出願の手続中は、いつでも補正ができます。出願時の範囲を超えない範囲で、商標庁に補正書を提出します。商標の補正もできます。出願人名義で登録されていれば、既に登録された商品・役務を加えて、まとめて出願することができます。

 ■ 審査基準および審査マニュアル

 香港の商標実務は、英国の実務が手本となっています。常に英国特許庁の「Trade Marks Registry Work Manual(商標登録実務便覧)」等の審査基準、審査便覧等が参照されています。

 ■ 先願主義か先使用主義か(first-to-file, or first-to-prior use system)

 先願であれば、一応(prima facie)後願に優先します。しかしながら、後願の出願人が先使用の証拠を示すことができれば、先願の優位性に対抗し得ます。

 ■ 拒絶理由通知

 拒絶理由通知が届いたら、6月以内に補正書・意見書を提出することができます。審査官との公式・非公式のヒアリング・面談を申し込むこともできます。
 この応答期間については、公式手数料(270香港ドル)を納付すれば3月の延長が認められます。正当な理由があれば、さらに1回以上3月毎の延長が認められます。
 権利不要求の提出は、拒絶理由を解消しません。登録官が出願を受諾すると公告されます。公告から3ヶ月間、第三者の異議申立制度があります。最終拒絶に対し、決定の日又は命令の日から28日以内に、裁判所に不服申立ができます。   

 いわゆるコンセント(consent)制度を導入していますので、先登録商標の商標権者の同意書があれば、原則として類似する商標の登録が認められます。その内容:
 「引用商標の商標権者は、出願商標が、指定商品・役務について香港で使用・登録されることに対する同意を確認する。」
 (The owner of the cited mark should confirm the consent to the use and registration of the applied-for mark in specified classes or goods/services in Hong Kong.)   

(7)異議申立

 ■ 付与前異議申立

 付与前異議申立制度が採用されており、知識産権署の商標局(Trade Marks Registry)が対処しています。何人も、商標登録公告後から2か月以内に異議申立することができます。手数料を支払えばこの期間を延長することができます。

(8)商標権の発生

 登録原簿への登録および登録証の発行手数料として、その指定商品・役務の数に拘らず、1件当たり2000香港ドルを、香港知識産権署に納入しなければなりません。商標権の存続期間は出願日から10年です。

(9)商標権の更新

 10年毎に、単なる更新手数料の納付のみで更新できます。更新手続は、満了前3月以内です。徒過した場合には、登録取消しの公告がなされてから1月以内であれば、更新手数料と追加料金を支払えば更新することができます。さらにこの猶予期間にも間に合わず、登録が取り消された後であっても、当局の示す要件に合致し、更新手数料と追加料金を納付すれば登録の回復が可能な模様です。更新手数料は、最初の1区分が3,000香港ドル、2 区分目以降が1区分毎に1,500香港ドルです。
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B. マドプロ出願

 中国はマドリッド協定、マドリッド協定議定書の両方に加盟していますが、これらの香港への適用は現在保留されていますので、中国を指定したマドリッド協定・マドリッド協定議定書による国際登録は香港には及びません。

C. リンク

 ■ 香港知的財産局 :Intellectual Property Department
 ■ Online Search System  :http://ipsearch.ipd.gov.hk/
 ■ 特許庁サイト(日本語):  香港商標条例      香港商標規則

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