タイにおける商標保護|newpon特許商標事務所

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タイ(Kingdom of Thailand)

 2016年7月28日にタイ改正商標法が施行され、マドリッド・プロトコルに加盟するための法整備が行われた。
 インドネシアの加入が2018年1月2日に発効しますので、両国の加盟により、マドプロの加盟国数は100に達します。東南アジア諸国連合(ASEAN)の10か国では、シンガポール、ベトナム、フィリピン、カンボジア、ラオス、ブルネイ、タイ、インドネシアの8か国が加盟したことになります。残る2か国についても加盟に向けた準備が進んでいます。

A. 商標登録出願(直接出願)

(1)願書の記載

 ■ 願書には、出願人の名称・住所、指定商品・指定役務及びこれらの区分等をタイ語で表記する必要があります。一出願で複数の区分の指定商品等の出願は認められていません。

 ■ 商標

 「標章」とは,肖像,図案,創作物品,ロゴ,名称,語,句,文字,数字,署名,色彩の組合せ,物の配置,音又はこれらの組合せをいいます。立体標章,色の組み合わせ,ホログラムが商標保護の対象に加えられていますが,匂い,味,単色,動く標章は保護対象とされていません。
 「商標」とは,その商標の所有者の商品が他人の商標を有する商品と異なることを示す目的で商品に関連して使用する又は使用を意図する標章をいいます。
 「サービスマーク」とは,そのサービスマークの所有者のサービスが他人のサービスマークを有するサービスと異なることを示す目的でサービスに関連して使用する又は使用を意図する標章をいいます。(商標法4条)

 ■ 指定商品・役務

 指定商品(役務)の記載は厳格です(具体的な記載が求められます)。包括的な記載は認められません。ニース分類に従うと公表されていますが、例えば、「サプリメント」だけでは認められません。限定して記載し、その主原料によって第29類、第30類などに分類されます。「医薬専用のサプリメント」は第5類です。数年前のわが国の指定に似ていますが、マドプロに加入すれば国際基準になると思います。
 「一般的な商品の小売り」(retail services of goods)は役務として認められています。
 指定商品1つまでは基本料金で出願可能ですが、2指定商品以降は、別途指定商品数に応じてオフィシャルフィーが加算されます。

(2)委任状(Power of Attorney)

 提出する必要があります。出願人が署名し、公証人の認証が必要です。

(3)優先権証明書(Priority Document)

 パリ条約加盟ですから、優先権の主張が認められます(第28条)。出願時に優先権証明書類を添付する必要はありません。審査官から要求があった場合に、その日から90日以内に提出する必要があります。

(4)審査

 ■ 実体審査(substantive examination)

 次の一に該当するとき,登録官は,通知の受領日から60日以内に補正するよう出願人に書面で遅滞なく通知しなければなりません。
 (1) 出願商標の要部でない部分が第6条(識別性欠如[第7条]、登録が認められない商標、他人の登録商標と同一又は類似する商標)に基づき登録できない場合,又は
 (2) 登録出願が第9~11条(指定商品・役務の記載など)に基づく省令で定めた規則及び手続に従っていない場合
 2016年改正により、一出願多区分制度が導入された[第9条]。
 拒絶理由通知書に対する意見書の提出は、正式にはできません。正式には、商標委員会へ申し立てる以外に方法はありません。しかし、非公式には登録官に意見書を提出することができ、また口頭で意見を述べることもできます。
 商標登録出願を受理すべきものと認められたときは,その出願は公告されます(第29条)。公告公報は紙媒体によりタイ語で発行されています。公開公報、登録公報は発行されていません。
 最終的に拒絶された場合には、商標委員会へ審判請求することができます。商標委員会は、検事、判事、大学の先生、審査官経験者で構成されていますが、ほとんどの場合に、登録官側の意見を採用します。商標委員会の結審には最低1年かかります。   

 権利不要求制度(disclaimer)が採用されています。登録官は、その商標の一部又は大部分が、ある物品若しくはある物品分類に一般的に使用されており、出願人に排他権があるべきでない商標であるか、又は識別性のない商標であるとみなした場合、出願人に該当部分についての排他権を放棄させる命令を出さなければなりません(第17条)。   

 ■ コンセント(consent)制度

 商標登録出願により生じた権利・登録した商標を譲渡し、後で譲渡した商標と同一又は類似の商標を出願した場合、その譲受人から文書で承諾を受ければ、譲渡した先行商標に基づいて拒絶されません。

 ■ 連合商標制度(associated trademarks)の廃止

 2016年改正により、廃止され、関連条文が削除された(旧第14条等)。

 ■ 団体商標制度(collective trademarks)

 団体商標制度が規定されています>(第94条)。団体商標とは、会社若しくは同一団体の企業若しくは組合、協同組合、連盟、私企業若しくは公的企業の団体によって使用若しくは使用目的とする標章若しくはサービスマークのことをいいます(第4条)。

 ■ 証明商標制度(certification trademarks)

 証明商標制度が規定されています(第81~93条)。証明標章とは、他者の物品若しくは役務に対し、物品の場合、その原産、製造方法、品質若しくはその他の性質を保証するため、又は役務の場合、その品質、性質、種類若しくはその他の性質を保証するため、証明標章所有者が物品若しくは役務に使用、若しくは使用目的とする標章のことをいいます(第4条)。

(5)異議申立

 ■ 付与前異議申立

 商標出願が公告された後,利害関係人等一定の者は何人も,公告の日から60日以内に異議理由を付して登録官に対して異議申立を請求することができます(第35条)。
 登録官は,出願人及び異議申立人の双方に理由を付して異議の決定を遅滞なく通知しなければならず、通知を受けた出願人及び異議申立人は,登録官の決定に対して,その受領日から90日以内に商標委員会に審判を請求することができます。該委員会は,審判請求に対して遅滞なく決定をくださなければなりません(第37条)。
 該委員会の決定に対して,出願人及び異議申立人は,その通知の受領日から60日以内に裁判所に訴訟を提起することができます(第38条)。
 異議申立がなかった場合,又は異議申立され,登録を認める最終決定があった場合,商標登録が命じられ、出願人に通知されます。出願人が通知の受領日から30日以内に登録手数料を支払うと、その後登録になります。
 出願人が前記間内に登録手数料を支払わない場合,その出願は放棄されたものとみなされます。

(6)商標権の発生

 商標登録は第42条に基づく登録の日から10年間有効です(第53条)。出願日が登録日とみなされますので、優先権を主張して登録された場合でも、登録日は優先日ではなく、出願日がそのまま登録日となります。
 自己の商標登録期間の更新を希望する商標所有者は,その期間満了前の90日以内にその旨登録官に申請しなければなりません。。満了日を過ぎてしまうと更新することはできず、放棄したものと見なされます。一方、更新期間内に申請されていれば,その商標登録は登録官が反対の決定をくだすまで有効です(第54条)。更新料金の納付は、満了日から6か月後まで延長でき、満了日後に納付しても料金の増額はありません。

(7)商標権の取消し

 商標法第4節(第56-67条)に、商標の取り消しについて詳細に規定されています。
 商標委員会に対して登録の無効審判を請求できる(第61、62条)。商標委員会の審決に不服の場合は、審決から90日以内に裁判所に提訴することができます(第65条)。
 登録後から3年以内に使用されていない場合には、請求により取消しの対象となります(第63条)。
 利害関係人又は登録官は,ある商標が特定の商品又は分類に関して通商上慣用となり,業界又は公衆にとって商標としての性格を失ったことを証明できるときは,当該商標登録の取消を裁判所に請求することができます(第66条)。

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B. マドプロ出願

 タイは、マドリッド協定議定書(マドプロ)加盟国です。したがって、マドプロに基づく国際商標出願が可能です。(2文字コード:TH)

C. リンク

 ■ タイ知的財産庁 :http://www.ipthailand.org/
 ■ 特許庁サイト(日本語):  タイ商標法  
タイ商標審査基準
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